ひと昔前では、首都圏での話だった「お受験」。最近は、地方でもお受験をする人が増えてきました。 短い期間で教育改革が行われ、なかなか定まった方針で教育がなされていないことに不安を感じる親御さんが増えてきていること、首都圏以外にも公立を含む小中・中高一貫校ができはじめていることが要因のひとつにあげられます。今は「都会のお話」ではなくなってきているのです。
お受験の目的とは
なぜお受験をするのか?将来、よい大学に入って成功してほしいから。小さい頃からハイレベルな教育を受けさせ、将来安定した生活を送ってほしいから…理由はそれぞれですが、一番は子どもの幸せを願って、ですよね。やはり、偏差値が高い学校へ入ればよい先生がそろっている確率も高くなるでしょう。より高い知識を持った先生達に出会い、勉強の楽しさを知るきっかけをつくるにも、お受験がある学校に入る意味があるのかもしれません。
もちろんお受験をしない場合でも、よい先生に出会える可能性はゼロではありません。ですが、たくさん勉強をし、面白い(興味深い)経験をしている先生は、お受験をして進むような学校に多く集まっているように思われます。そう考えると、小さいうちから正しい教育を身につけるためには、お受験がひとつの方法となるのではないでしょうか。
小学受験の内容
では、具体的に小学受験とはどのようなものでしょうか。これは学校によってさまざまですので、一概にこれとは言えません。受験する学校の要項をきちんと読み、何が必要か確かめておきましょう。
競争率が高いところでは、数十人にひとり程度と、合格のハードルがとても高いです。試験の内容をきちんと把握し、それに適した対策をすることが合格の第一歩となります。
小学受験では特別な試験があるところもありますが、大体は「ペーパーテスト」「行動把握」「面接」の3つが基本になるかと思います。次からは、この3つの試験について、詳しく解説します。
ペーパーテスト
ペーパーテストですが、これは知能テストのような問題が多く出される傾向にあります。例えば「日常で四季を感じる物を、言葉や文字で把握する」といったようなものです。
また、最近は図形や計算だけでなく、総合力や問題解決力などを問われる内容も増えてきています。
ペーパーテストは慣れが大事ですので、前もって問題に触れて解き方に慣れていくことが重要です。何度も問題に触れるうちに、回答のパターンや切り口を見つけることができますので、早いうちに取り組みましょう。
行動観察
行動観察は、例えば3人1組で積み木を使って遊ぶ様子を見るなど、グループになったときに、どんな行動をとるのかを問われる試験になります。
合格しやすい行動とは?
こんな形を作ろうと提案する、誰かが提案したことを淡々とこなす、なかなか意見を出せずに遊び始められない、など色々な性格の子どもがいるかと思いますが、やはり一番合格しやすいのは率先して行動し、周りに意見できる子どもになります。
最近、小学生から受験できる無料の統一模試などがありますが、あの試験もお受験同様、未来のリーダーの素質を見つけるための試験といえます。
引っ込み思案だけど気が優しい…など、親が知っている子どもの長所も、この行動把握ではポイントにならないところがネックになります。
子どもの好奇心を刺激する
最近、自分の意見をまとめられない、言葉で表現できない子どもが増えています。実際、私が塾などで面談をしている際も、子どもが話そうとしているのに、親がさえぎって代弁してしまうケースが多くなった印象を受けます。そして、それに甘んじている子どもも増えているように感じます。
その子にもよいところはたくさんあると思いますが、やはりお受験では人より率先して意見できる要素が重視されているのも現実です。
いきなり性格は変えられませんし、お受験だけのために子どもの行動を制限できる訳ではありませんが、早いうちに子どもの好奇心を刺激し、物事への興味を引き出す工夫をしてあげることが大切です。
知識を受け取る“土台”をつくる
勉強ができる子どもにすることよりも、好奇心にあふれ、何事にも意欲的に取り組めるような環境をつくってあげましょう。その経験は、子どもの今後の知識を受け取る土台となります。
薄くても構わないので広く育て、後にたくさんの情報を拾える器をしっかりつくっておくことで、お受験だけでなく今後変わる大学入試にも適応できる力が身につくはずです。
ぜひコツコツと子どもの好奇心を育ててあげてください。
親や家族のサポートが必須
子どもの能力を引き出すには、外部のサポートが不可欠です。つまり小学受験は、親そして家族の協力がなくてはなり得ないものなのです。これは、合格不合格にこだわらず、子どもにとっても親にとっても非常によい経験になるはずです。途中、くじけそうになっても、絶対にムダな時間とは思わないでください。子どもと一生懸命に過ごせる時間は、熱中したものが何であれ、かけがえないものになります。自信を持って、一緒に取り組んでください。
面接
幼稚園や小学受験では保護者も一緒に面接するケースが多いです。つまり家庭環境も合格の条件として見られることになります。保護者の受験に対する思い、学校の方針に対する考えなど、聞かれているものはもちろんのこと、色々な問いを通して、今後その保護者が学校とどうつき合うかまで判断する学校もあります。万全に用意して不足はありませんので、しっかり対策しておきましょう。
中学・高校受験から見た小学受験
中学・高校受験は、何になりたいから、こんなことを学びたいから、と自分の意思を持って受験する子どもが増えてきます。この時期での受験ですと、親が何か言わなくても自ら勉強し始めるようになります。というより、しなくてはいけない状況になります。
受験内容に関しても、勉強の要素が多く、今まで勉強した内容の定着を問われるものが多くなります。面接に関しても、どんな人になりたいか、どんな人を尊敬するかなど、思考を問われるものが多く、あまり親が参加する機会もありません。そういった意味では、親の負担は軽減されます。子どもの意見を尊重したい、子どもの将来についてはゆっくり考えたい、という場合は中学・高校受験で十分ではないでしょうか。
まとめ
なぜ小学受験をしなければならないか?しなくてもよいのか?それぞれの家庭の事情がありますので、「こうしないと、必ずこうなってしまいます」ということはありません。しかし、受けるメリットのひとつに「子どもの基盤をひろげることができる」ということがあります。
歳を取れば取るほど、脳が収納できる量は減っていきますが、小さい頃から好奇心を育て、たくさんの経験をさせることで、子どもの脳の収納力は無限にひろがります。その力は、どんな知識もスポンジのように吸収する力になり、大人になってもたくさんの知識を覚えられる力になるのです。
小・中・高校受験それぞれにメリットがあるかと思います。ですが、小さい頃に身につけた能力は、成長し弱気になったとき、自分の心の支えになってくれるお守りになります。合否に関わらず、小学受験のために経験した時間は、きっとかけがえのない宝物になるはずです。