受験するうえで欠かすことのできない入学願書。何をどう書けばいいの?と頭を悩ませるかたがほとんどかと思います。就職活動のエントリーシートと同じように、いかにアピールして目に留まりやすい内容を書くかが重要です。本記事では、よくある質問内容を例に、書くポイントを解説します。
願書を書くポイント
志願理由
当たり前ですが「公立に行かせたくないから」「エスカレーター式で中学受験回避できるから」といったことを、ストレートに書くわけにはいきません。ここでは、いくつもある学校のなかで
- なぜその学校でないといけないのか
- その学校のことを理解していたうえで志願したのか
という点を問われています。
よくある文言として「御校の教育方針に共感し、感銘を受け~」という内容があるかと思いますが、これはおそらく一番線を引かれてしまう可能性が高いです。
学校のホームページやパンフレットから、そのまま引用したような文章は好ましくなく、また志望校の教育方針と家庭の教育方針を、無理に一致させる必要はありません。
家庭での教育方針や、どのような考え方で子育てをしていて、そのうえで「入学して子どもがどうなってほしいのか」を書くのがポイントです。
具体的なエピソード・志望動機を盛り込む
例えば「思いやりのある子に~」や「粘り強い子に~」という内容を書く場合、そのエピソードを具体的に練りこむことで、子ども自身の人柄をよく伝えることができます。
<エピソード例>
- 思いやりのある子
公園で自分が遊んでいても、ほかの子が遊びたそうにしていたらすぐに順番を代わる - 粘り強い子
苦手な鉄棒も、手にマメができるほど練習する
そのうえで、志望校のどういった教育で、どう育って欲しいかを書くと、面接官の先生にも印象に残りやすい願書になります。ちなみに、受験するのは5、6歳の子どもなので、100点満点の模範的な内容よりも、“子どもらしいエピソード”のほうが目に留まりやすいそうです。
また、志望校だけではなく似たような教育方針をうたう学校も目にとめ、その学校と志望校と何が違うのか、志望校にしかない特徴を把握したうえで「なぜその学校に入学したいのか」をアピールすることが重要です。
家庭での子育て、教育方針について
親として、子どもとふだんどのように接しているか、家庭の教育方針が問われます。難しいことではなく、「ちゃんと返事(挨拶)をする」「自分で考えて行動する」といったことです。そして、その方針に対してどのように親が関わっているのかを具体的に書きます。
<例>
- 自分で考えて行動する
子どもが新しくチャレンジしているときは、口出し手出しをせず見守り、後からチャレンジしたことについて子どもと話をします。
また、なぜそのような教育方針をとることにしたのか、
- こういう子になってほしいという『希望』
- 『希望』に近づくために、子どもにどのような力をつけてほしいかという『目標』
- 『希望』と『目標』を叶えるためにどのように教育しているかという『方法』
この『希望・目標・方法』の3点を書き出してまとめると伝わりやすいです。
子どもの長所・短所
子ども自身の個性が分かるよう、エピソードを織り交ぜながら、とにかく具体的に書きましょう!
<例>
- 元気な明るい性格
公園で泥んこになって遊んでいます - 好奇心旺盛
○○がとくに好きで、自分から図鑑を広げて見ています
また短所ですが、単に悪いところだけではなく、長所ともとれるような書き方をおすすめします。
<例>
- まわりが見えない
熱中しすぎるあまり、ひとつのことしか見えなくなるときがありますが、集中力の高さは親としても目を見張るものがあります。 - 頑固
意志が固く時々困ることもありますが、簡単に考えを変えず、自分の意思を貫き通すという意味では、成長しても持ち続けてほしい点だと思います。
写真
願書に添付する写真ですが、学校によっては子ども個人だけでなく、家族写真の提出が必要な場合があります。いずれにしろ、「日常風景がわかるもの」といった指定がない限りは、必ず写真店(スタジオ)に頼みましょう。また、写真を撮るときの服装ですが、個人・家族ともに面接時と同じ服装をおすすめします。
<服装例>
- 男児:白ポロシャツ、ベスト、紺の半ズボン、白ソックス、制靴
- 女児:紺ワンピース+ボレロ、または白ブラウス+ジャンパースカート、白ソックス、制靴
- 父親:紺スーツ、紺系のネクタイ、ダークカラーの靴下、革靴
- 母親:紺ワンピース、ストッキング、黒のパンプス
- 兄弟姉妹:制服やフォーマルな服装
「日常風景がわかるもの」という指定の場合は、スナップ写真のなかでも、面接時の会話や願書内容につながる場面を選ぶとよいでしょう。わざわざ海外旅行に行って有名どころを背景に…という必要もなく、例えばピクニックで家族全員が楽しんでいる様子や、自宅前など、ふだんの家族間のコミュニケーションがわかるような写真です。
願書の注意点
願書に記入する際は下記の点に注意しましょう。
- 必ず「です・ます調」で
- 一字一字丁寧に、誤字脱字は絶対にNG
- 消せるペンも不可
- 学校を指すときは「御校」または「貴校」と表します
「御校」と「貴校」との違いですが、意味は両方とも同じです。「貴校」は書き言葉、「御校」は話し言葉でも書き言葉でも使われます。 - 子どものことを書くときは「わが子」「息子」「娘」
- 願書は練習用のコピーと、記入後のコピーは必須
書き終わってから数日空けて目を通すと、より客観的に見直すことができます。
面接に繋がる願書
面接では、基本的に願書に書かれていることを聞かれます。志願理由、子育てについて、子どもについて…というのは必ず聞かれると思ってください。面接では、願書に書いてある内容と異なることを話すのではなく、願書には書ききれなかった内容を追加して話すとよりよいと思います。
学校によっては、出来だけで落ちてしまうこともある願書ですが、面接をする先生にとって受験者の家庭を知る唯一の資料となります。願書を入手できたら、早めの準備をしていきましょう。